世の中には「地雷」と言われる作品が数多く存在する。
しかし、そう言われる作品でも、あえて踏んでみると、意外に悪くなく、
期待が負の方向性であるが故のギャップ補正で、むしろ「良作品?」と思ってしまうこともある。
これはそんな作品。
「泣空ヒツギの死者蘇生学」(相生生音)
登場人物のネーミングがいかにも西尾チックで、
「主人公が前向きないーちゃん」「劣化西尾」と言われていたけれど、
結論から言うと、バトルものとしては正統派。
実際読んでみると、ジャンルやキャラクターは別として、
作りはオーソドックスで意外としっかりしていたりする。
主人公の性格も、いーちゃんのようにひねくれている訳でもなく、むしろ正統派。
新人でこのレベルなら次回作も期待できる。
あとがきで、「新人のくせに300ページオーバーとか・・・」と言っていたけど、
実力はそれなりに感じられたので、むしろWELCOME。
あらすじは、
自分はいきなり殺されてしまった。
しかし、目が覚めたら目の前に自分を殺したっぽい女の子がいて、
自分の体はどうもフランケンっぽくなっていて、女の子には敵がいるようで、
敵と何気なく遭遇してしまったり、生前の幼なじみが自分を追いかけてきたり・・・
とかそういう話。
最近のはやりに沿って、ツンデレやヤンデレも搭載。
(以下、微妙にネタバレ。注意!!)
この作品の特筆すべき点は、
「特殊能力を持つ敵に普通の能力しか持たない主人公が知力を尽くして立ち向かう」
という、従来ならありがちな設定の
「敵サイド」と「主人公サイド」を入れ替えてしまった点。
戦闘向きではないとはいえ、
普通の人間なら歯が立たない能力を持った主人公側のヒロインに対し、
人間としての限界を武器と精神力で補って、
ヒロインを圧倒したヤンデレがとんでもなく強かった。
しかし、主人公は改造人間(ゾンビ)になったというのに、
身体能力は平均以下というのは悲しすぎる。
舟橋市中山