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カサレア王国 @サマラン小説

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[0] 名も無きザビラー@ザ掲示板 2020/07/31 13:12 lc/D9ZdKpPR

1

カーテンを締めた暗い部屋の中でテレビの明かりがついている。

「高校生等を乗せたバスが逆走した乗用車を避けようとしてガードレールに衝突し、トラックを含む5台が巻き込まれ、複数人が重軽傷を負った事件。過失運転致死傷罪、覚醒剤取締法違反などの罪に問われている男の初公判が昨日東京地検で開かれました。」 

「えーラッセル高井さん、最近本当に暴走する車が多いですねー。」 

「だからね、こういった場合にはきちんとした治療を、」 
  
コメントの途中でテレビの明かりは消えた。 

普段テレビで何気無く流れる事件にも、どこかに必ず被害者がいて、その人は日々哀しい時を過ごしている。
  
部屋に一寸の光が入る。 
「由香、辛いのは分かるけどもう卓也くんの事は...」

「うるさい!ほっとけよババァ!!」 

大きな扉を閉める音と、共にまた部屋は真っ暗になった。

9件のコメント 1番から9番を表示中

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[1] 名も無きザビラー@ザ掲示板 2020/07/31 13:37 lc/D9ZdKpPR

「まだ卓也、意識が戻らないらしいぜ。」「佐藤もずっと休んでるしヤバいよな」「もうその話やめろって。」「卓也と佐藤って中学からなの?」「いいから!」
 
「はーい、お前ら席つけよー。早くしないと弁当のオカズ貰うからかなー。」 
授業が始まったが、教室には依然として事故にあった生徒の席はとってあった。飯田卓也、彼の意識が回復し戻ってくると学校は信じているのだ。 

10カ月前には確かに普通の何気無い日常が飯田卓也にはあった。 

「卓也くん、一緒に帰ろ。」 
 
飯田卓也と佐藤由香は中学3年生の時に塾で知り合い、いつの間にか一緒にいる時間が長くなっていった。周りからみればカップルだったろうし、本人達も友達以上だとお互いを認識していた。  

「お前に合わせて、この学校に来たんだけど正直おれにはきついっす。」 

「分からなかったら教えてあげるって言ってるじゃん。」  
  
「つーか、内丸って芸能界引退してユーチューバーなったらしいぜ。冒頭の一発ギャグみたいなの頭おかしいよな。しってる?あのなに言ってるかわからないやつ。」

「知らない、どんなの?」 

「すげー早口で自己紹介した後に、トンテキ!っていうやつ、俺等もコンビでユーチューブとかしてみない?」

[2] 名も無きザビラー@ザ掲示板 2020/07/31 13:47 lc/D9ZdKpPR

「じゃー、まずは挨拶考えないとね。」   

事故から二人のユーチューブチャンネルは1度も更新されていない。 
 
卓也...また二人でユーチューブやろうよ。卓也くんが考えたあの馬鹿な挨拶、またしようよ。しろよ、卓也ぁ.
..。 

由香は定期的にお見舞いにきては昏睡状態の卓也に言葉をかけていく。学校関係者では 見舞いにくる生徒が一人、また一人と減っていっても、彼の担任教師と由香だけは事件から10カ月がたった今もなお、彼に会いに来る。 

ねえ卓也、寝てるだけなんだよね。どんな夢みてるの?私はそこにいる?

[3] 名も無きザビラー@ザ掲示板 2020/07/31 14:30 lc/D9ZdKpPR

2 
 
10カ月前。
エーエム学園サッカー部の1、2年生を乗せたバスは合宿へ向かっていた。 

ありふれた景色に石が投げ込まれる。 
「ぅわっなにやってんだあああ!!」運転手の驚きが混じった叫び声、前方から乗用車が逆走してきている。車は急ハンドルをきりガードレールに衝突。 
 
「いって、マジかよ。」 

しかし、瞬く間に後方から大型トラックが追突する。バスのガラスは吹き飛び横転、数十秒の出来事だった。 
 

「あれ?俺なんで宙を飛んでるんだ?まてよ、下に気を失ってる自分がみえる。これって死んだのか。これが 死?」

頭部を打ち付け意識を失い幽体離脱した飯田卓也、しかし思考はできているし、周りの風景もみえる。逆走した乗用車から男が何か喚きながら足を引きずりでてくるのもハッキリとみえる。

しばらくすると、卓也の頭上に目映い光が表れた。光の源とも言うべくその輝きに卓也は段々と吸い込まれていく。 

「なんか、凄く気持ちいい。。死んだのかもしれないけど、もうどうだって...いいか、、。」 

光に吸い込まれ、包容される卓也。そして気がつくと彼の意識は淡い紺色の世界にあった。

[4] 名も無きザビラー@ザ掲示板 2020/07/31 14:41 lc/D9ZdKpPR

その淡色の世界では妖精のような光がホタルのように漂っていた。そして優しい女性の声が彼に語りかけた。 

「こんにちは。卓也。」 

「あ、貴方は誰すか?え、神様かなんか?」 

「フフフ。今の貴方にはまだ教える事は出来ないけど、私は貴方の見方です。」 

すると、向こうから飯田卓也のガールフレンドである佐藤由香が叫んでいる。「卓也くーん、こっちー。」 

飯田卓也は彼女の方へ向かおうとするが、謎の女性の声に静止される。 

「待ちなさい、貴方はしばらく別の場所に勉強に行きなさい。」 

「勉強ってなんだよ?いや、ちょっと待って下さい。説明は?」 

淡い世界の空間に穴が開き卓也の意識は今度はそこに吸い込まれていく。

[5] 名も無きザビラー@ザ掲示板 2020/07/31 14:47 lc/D9ZdKpPR

×淡い紺色の世界 
○淡いベージュ色の世界

[6] 名も無きザビラー@ザ掲示板 2020/07/31 15:10 lc/D9ZdKpPR

3 地球 

ブラックホールのようなものに意識が吸い込まれる。轟音がする。昔、避難訓練で筒状の救助袋を通り高所から下まで滑り降りた経験があったが、それを何倍にもしたような感覚は高揚感をも伴っていた。そして、トンネルを抜けるように出口の光がみえてくる。 

「あ、この子目を覚ましてるわよ。」「本当か。」 

卓也の霞んだ視界は徐々に景色を取り戻していったが彼は思わず驚き声をあげた。 

「怖がらなくていいわよ。」 

そこにいたのは彼の知る人間ではなかった。確かに日本語を話しているが、髪の毛は銀色であり、目の色はスカーレット(真紅)で虹彩は猫や蛇のように縦である、肌の色は薄い緑色。鼻先はツンと尖り、指先は細い、人間だとコーカソイドに近く人のように胸もあるようだった。 

「ばばばバケモ、、の」再び卓也の意識は薄れていった。

[7] 名も無きザビラー@ザ掲示板 2020/07/31 15:33 lc/D9ZdKpPR

「大丈夫?まだ疲れてるみたいね。」  

謎の人類に似た種族は自分達をカサロイドといった。民族名ではなく種族名だ。そして俺の面倒をみていた女性のカサロイドはセレースと名乗った。 

なんでもセレースの家の近くで倒れていた所を発見されたらという。驚くべき事にここは地球であるらしいが、当然俺のしっている地球ではない。世界地図も全く違うし、種族はカサロイド以外にもレプトイド(爬虫類型知的生命体)など複数がおり、もはや名前だけが地球であるといっていい。名前以外は全てが違う。 

ちなみにここで俺のような人間は珍しく、セレースと彼女の両親は俺を可愛がった。
 
「レプトイドってまだ会った事はないけど、なんか怖いな。食われたりしないかな。」 

「私のお爺ちゃんもレプトイドよ。家畜から肉を培養するからいちいち無駄な殺生はしないの。」
 
俺のいる場所はカサレア王国という国の田舎らしいけど、進んだ技術をもっているようだった。 

[8] 名も無きザビラー@ザ掲示板 2020/07/31 15:48 lc/D9ZdKpPR

ふと猿の惑星を思い出した。猿が支配する惑星から脱出し地球に帰還しようとしたら、そこが未来の地球だったというオチである。まさかなと思う。 
たまに由香や家族の事を思い出し泣く。セレースは俺を慰めたが、帰りたい気持ちで一杯だった。
 
セレースの家にいたが、なんでも人間は珍しく、見つかれば捕まりドッグショーの犬のように遺伝子研究の材料にされてしまうという。 

しかし、珍しいというが他にも人間はいるかもしれないし、もしセレース達が自分を高値で売るような裏のある奴等だったらどうしよう。 

卓也は近い内にセレースの家を抜け出し、同じ人間を探す事を決めたのだった。

[9] 名も無きザビラー@ザ掲示板 2020/07/31 16:13 lc/D9ZdKpPR

4  

「飯田くんはかなり頭を強く打っていて松果体の損傷により、内分泌に異常を来している。このまま脳内物質の体内濃度が上昇すれば、やがては。」 

「外科手術は難しい、脳はまだ未解明な部分が多い。彼自身の力を信じるしかない。」 

飯田の父は経済的に苦しかったが、可能な限り彼の延命を続ける方針でいた。 

「お父さん、やっぱりもう卓也は無理なんじゃ」
そう卓也の母が弱気な事を言うと父は院内にも関わらず声をあらげた。

「うるせえ!あいつの心臓はまだ動いてるんだぞ!子供を殺す親がいるか!友達の由香ちゃんだって体調を崩しながらもお見舞いに来てくれてるだろ!それにしてもあの弁護士、、何が正常な判断が出来ない状態だっただ!」 
 
そしてカツカツと病院の廊下をしばらく歩いた後、振り返り「置いていくぞ」と妻に言った。

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